感謝の言葉
温和なあなたのあのお姿が、あの日から、旬日(じゅんじつ)を経ずして消え去ってしまおうとは、いったい誰が想像しえたでありましょうか。
本年三月三〇日 ご本山での 親鸞聖人御誕生八百五十年・立教開宗八百年慶讃法要に率先して参拝され、そのご勝縁を大いに慶ばれました。また、四月二〇日の勝林寺観桜会では、いつも通り楽しそうにご住職にお酒をすすめ、宴席を盛り上げ、久しぶりに集うことのできたあなたの喜びの顔を忘れることができません。
思えば今から四十年前、前住職様と共に、仏教壮年会の立ち上げに参画し、また自ら進んで『連研』(連続研修会)で学習を積み、その社会的実践の功もあって、早くから門徒総代に選ばれ、勝林寺の法要・行事には、欠かすことなく参加奉仕されました。そのお姿は「武志さんなくして寺なし」と、衆目の見るところでありました。しかし、あくまでも謙虚で、少しも指導者ぶらず、淡々とわが道をあゆみながら私たちを導いてくださいました。
常に温厚篤実(おんこうとくじつ)、しかも烈烈の熱意をこめて、勝林寺の今を憂い、寺のあしたを夢に見て、「共に門徒、手を携えて頑張りましょう」と励まして私たちをリードしてくださいました。
本日 寺から贈られた「院号」には「護林院」(ごりんいん)とあります。まさに中島武志さま、あなたは勝林寺を同朋(なかま)が集うお法(おみのりの)の場として護り、護持(ごじ)してくださったご一生でありました。そして、前住様がつけられた法名に「釈志願(しゃくしがん)」とあるのは、「仏願を志す」あなたの平生のお姿をそのままを彷彿(ほうふつ)させています。
その貴方とも、いまは言葉を交わすこともできません。このうえは、「ただ念仏して弥陀にたすけられまいらすべし」との親鸞様の導きのまま、南無阿弥陀仏とお念仏申し、お念仏のなかで、いつでもお出会いさせて戴きましょう。 お導きいただいた御礼を、思い尽くさぬまま申し上げ、門徒一同を代表してことばを奉呈致します。
令和五年八月二二日
浄土真宗本願寺派
弘原山 勝林寺門信徒代表
中嶋英樹