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十月どすん

母が一人で暮らしていた私の実家は、今は住む人がいなくなり「空き家」になりました。できるだけ足を運び、時には泊まったりもしますが、何せ築百年を超す古民家(と言えば聞こえはいいですが、ただ単に古いだけの家(笑))なのであちこち傷んできました。全部を維持するのは大変なので、この度思い切って「離れ」を壊してもらうことにしました。その「離れ」の一部に、私が学生時代に使っていた小さな部屋がありました。結婚して三十余年、ほぼ足を踏み入れないままのほったらかし状態(知らぬ間に、私に代わりネズミが主になっていたみたいです(涙))壊すにしても、少し整理をしなければなりません。勇気を出して足を踏み入れると、完全に時が止まったままのその部屋には、中学時代の通学カバン、高校の修学旅行のお土産、当時ファンだった歌手のポスター・・・机の引き出しには懐かしいものがいっぱい詰まっていました。大学の時のサークルの機関紙、教育実習の記録・・(後でゆっくり読もう)(後でゆっくり見よう)と、はじめはそれらを別にして片付け始めたのですが、考えてみれば、そんなものを改めて見なくても、どれも今の私の中のどこかに残っているものばかりのような気がしてきて、結局、ひとつ残らず全部捨てました。今、「離れ」の跡は更地になり、すっきりと周囲が見通せるようになりました。同時に、私の過去も形を無くし、すっきりと今と未来が見通せるようになりました。と言いたいのですが、勝林寺に来てから新たにいろいろため込んだので、まだまだ先を見通すことができません。(笑) (文責 坊守)