昨年中に抱いた醜い煩悩は、百八つの除夜の鐘をつくことで帳消しにして真っさらにし、今年出会った方々と「明けましておめでとうございます」と共に新年を無事に迎えられたことを喜び合い、出会えない方々とも年賀状を通してお互いの生存を確認し合い、安心して新しい年をスタートさせてから、早くも一か月が過ぎました。ずっと続いている、いつも変わらない新年のスタートでした。ただ、少し変わったことがありました。年賀状の中に「今年で最後とします」の言葉が添えられているものが十通近くもあったのです。数年前から、一通、二通とありましたが、こんなに多くの方から届いたのは初めてです。多分、来年になったらもっと増えるのでしょうね。以前にも「どすん」に書いたことがありますが、我が家の年賀状は、尊敬する先生に我が子を見ていただきたいという住職の思いで、ずっと子どもたちの写真を題材にしてきました。よその子の成長なんてどうでもいいでしょうが、中には毎年楽しみにしてくださる方もあり、家族も一年に一度はみんなで写真を撮る機会がもてて、それはとてもいい時間になりました。先生は、すでに亡くなられ、子どもたちもみんな社会人になってなかなかそろえなくなりましたが、別々にとった写真を組み合わせ今も続けています。また、今では、子供の成長より、私たちの「老い」の方が気になる方が多いので(笑)、私たち夫婦も登場させています。年賀状じまいをされる方には、事情があるので、それを否定するつもりはありません。ただ、年賀状のやり取りは、日常的にはやり取りはないけれど、それでも忘れられないご縁のあった方との最後のつながりであるような気がして、途切れてしまうことをとても寂しく思ってしまいます。
(文責 坊守)