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十一月 どすん

よく忘れます。忘れてちょうどよいこともありますが、困ること迷惑をかけることも度々です。その中で一番困るのは、「ごみ出し」を忘れることです。言い訳しますが、「今日はごみ出しの日」ということは忘れていませんよ。出すごみを用意してちゃんと玄関まで出しておきます。うちの区は一番の収集なので八時には集めに来られます。用意したらすぐに出せばよいと思われたかもしれませんが、早く出すとカラスの被害にあうのです。だから、八時五分前に出したいんです。しかし、それを忘れます(涙)「あーぁ」「また忘れたー」・・落胆しながら思い出したことがあります。私の実父は、筋金入りの忘れん坊でした。当時、養鶏をしていて、一〇㎞ほど離れた京都府の町に卵を卸しに行っていました。そのついでに、母や祖母に「○○買ってきて」とよく頼まれるのですが、買ってくるのはまあまあ三~四回に一回。いつも「また忘れたんか」とあきれられていました。そこで、母たちは考えました。どうしても忘れてもらっては困るときには、父の左手の小指にひもを結ぶのです。ちょっとした拍子にそのひもを見て「あぁ○○買って帰るんだ」と思い出してくれるから。効果はテキメンでした。で、私も、ごみを出す用意をした後に、指に輪ゴムを巻くようにしてみました。すると、これまた効果テキメン!・・でも、筋金入りの忘れん坊の娘は、輪ゴムを巻くのを忘れます。DNAは侮れません(笑)こんなことを、あれこれ考えているとき、ふと「私には、忘れてはいけないのに忘れている大事なことがある」と気がつきました。それは「私も死ぬ」ということでした。忘れないように腕輪念珠をつけようと思い立ちました。今までは、外に見せるものと思っていた腕輪念珠が自分のためのものになりました。今日の命がありがたく思えます。(文責 坊守)