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十月どすん

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量販店で見つけて買ったスティック糊十本の塊をほっこりと見ていたら、若院が「そんなよーけの糊、何に使うん?」と尋ねます。「寺報の封筒を張るのに使う。結構よくなくなるんや」「へー」―若院は、「なんぼよくなくなるからって、十本は多すぎるやろう」と思ったかもしれません。思ってないかもしれません。母の(なくなるたびに買いに行くのは結構面倒だし、作業してもらっている途中でなくなる心配もない。これでしばらく安心。それに、セットで買ったら五百円も安かった!)という小さな喜びも理解できるかもしれないし、理解できないかもしれません。いずれにしても、スティック糊十本の塊を手にしてうれしそうにしている私の姿は確かにちょっと変・・ん?同じような姿を見たことがあると思い出しました。三十五年前、大鍋を抱えて喜ぶ前坊守の姿です。一緒に出かけたバザーで、直径六十センチはある大鍋をとっても嬉しそうに買った前坊守。その時私は「こんな大きな鍋、何に使うんだろう?」と思っていました。前坊守の(この鍋があれば、仏婦の総会や敬老報恩講の味噌汁がいっぺんにできる。報恩講のケンチャ煮だって一つの鍋でできて、お手伝いの方の手間が省ける)という喜びは理解できていませんでしたから、心の中で「なんぼ何でも大きすぎませんか?」―この時前坊守が買った大鍋は、今も行事の賄いで大活躍しています。

六十センチの大鍋と十センチのスティック糊十本、今も大活躍の鍋と使えばなくなる糊、大きさや値打ちにかなりの違いはあるけれど、「勝林寺の坊守だから手に入れたとき感じた喜び」という共通点があるような気がして、前坊守の足元くらいには寄れたかも・・とちょっとうれしくなった私です。

(文責 坊守)

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