神戸新聞になつかしいものを見つけました。小学校の一年生だけが使う「あのねちょう」というノート。ご存知でしょうか。日記を書くノートなのですが、出だしが必ず『せんせい あのね』で始まるから『あのねちょう』といわれました。この名前は、神戸の教員鹿島和夫さんが出版された「一年一組 せんせい あのね」という本に由来しています。自分が担任した、小学一年生の子どもたちとの交換日記を一冊の本にまとめられたのです。それを日本中の先生がお手本にしたことから作られたノート。「にっきちょう」というとなんとなく堅苦しいイメージになりますが、となりにいる先生に、話しかけるように「せんせい あのね きのうね・・」なら、すらすらえんぴつが進みます。さらに先生は、ノートを読んだら、その日のうちにお返事を書いて返されるのです。子どもたちは、先生がどんなお返事を書いてくれるのか、毎日ワクワクしてノートを開いたことでしょう。日々の交流をきっかけにして、先生は子どもの心の奥にある思いをくみ取り、子どもたちに自分の中にある様々な思いに気づかせ、それを伝える喜びへと導いていかれました。それがやがて詩になり、子どもはどの子もみんな詩人になりました。素敵でしょ。そんな先生にあこがれて私も、「あのねちょう」で子どもたちと交流しました。残念ながら、だれも詩人にはしてあげられませんでしたけど(笑)ただ、子どもたちとの毎日のやり取りは、私自身の癒しとなり励ましとなり力となりました。おかげで毎日ずっと笑顔で仕事ができました。そして今、私は「坊守さん あのな きのう・」と気軽に話しかけてくださるご門徒さんのおかげで元気をいただき、毎日笑顔で過ごさせていただけます。ありがたいことです。
(文責 坊守)