勝林寺寺報の中に、このコーナーを設けさせていただいてからずいぶん月日が流れました。おかげさまで「いつも楽しみにしています」とお声をかけてくださる方、わざわざお電話をかけてくださる方、時にはお手紙をくださる方もあり、多くの優しい思いに支えられていることに日々感謝しております。ただ、コーナーの名前まで憶えてくださる方は少なく、「どかん」とか「どてん」などといわれることもあり、そんな時は苦笑いでごまかしております。先日、遠くからお参りに寄ってくださった方が「『どぼん』楽しく読ませてもらっています」といってくださったと住職が言います。「あら、おぼれてしまいそう」と、話題にしていただいたことに感謝しながらも、その時は住職と笑い合っていました。
「どすん」の由来は、十数年前、ご講師として来てくださった吾勝先生が「寺という漢字は、上下に分けると「土」と「寸」、すなわち「どすん」です。寺に来たら、遠慮なく格好も気にせず、どすんと座ってお聴聞しましょう」とお話ししてくださったことがとても心に響き、坊守として駆け出しだったそのころの私は「ご門徒の皆さんに勝林寺の本堂に『どすん』と座ってもらえるようにするのが私の務め」と強く思いました。だから、寺報の編集を任されたとき、迷わずこの名前のコーナーを設けたのです。あれから多くの時が経ちました。皆さんに「どすん」と座っていただけているかも定かではないのに、今は「どぼん」もいいなと思います。お念仏に出遇われたすべての方に、阿弥陀さまが必ず救ってくださるお慈悲の海に「どぼん」とつかって生きてもらいたい。流れは常に移ろいひとところには留まれず、煩悩は消えることなく次々と湧いて悲しみや怒りや不安は尽きないけれど、それらも含めて包み込んでくださる大きな海の中にいるありがたい毎日。 (文責 坊守)