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四月どすん

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二か月ほど前、私宛の郵便の中に市の高年介護課からのものがありました。「何だろう」と開けてみると、入っていたのは「介護保険被保険者証」でした。「あぁ」(軽くため息・・)。四月に誕生日を迎える私への高齢者デビューのお知らせでした。自分では「若さ」に対する執着はそれほどないと思っていましたが、「ついに来たか」的な軽いショックと開き直りの感情が芽生えました(笑)同時にこの時を迎えることができたことの「有難さ」も感じました。今日まで、大病も大けがもほとんどすることなく過ごしてきた私ですが、一度だけ救急搬送されたことがあります。今から十二年余り前の残暑の厳しい九月でした。暑くて早く目が醒めた私は、当時飼っていた保護犬の「レン」を連れて一人で朝の散歩に出ていました。帰って来て、寺の裏を流れる川沿いの細い通路を歩いている時に、老犬だったレンが散歩で疲れたのでしょう足を踏み外して川に落ちたのです。私はというと、リードをもってレンの前を歩いていたので引っ張られるまま約二メートル下の石がゴロゴロする川に落ちました。一瞬のことで何が起きたのか把握するまでに少し時間がかかりましたが、おおよそを理解し、とりあえず体が動いたので起き上がり、大きな声で家にいる住職を呼びました。目の上あたりを打っていることは分かりましたが、程度が分からないため救急車を呼んだというわけです。いろいろ調べて一晩入院もしましたが、幸い打撲以外の異常は見つからず、事なきを得ました。今でもそこを通るたびに少し胸が苦しくなります。落ちる場所が数センチずれていたら、体の角度が少し違っていたら・・今の私はいないなと思います。生かされていることは有難い、いのちをいただいていることは有難いです。 (文責 坊守)