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住職法語 2024-10

一切善悪凡夫人  聞信如来弘誓願
仏言広大勝解者  是人名分陀利華

今年度から出石組総代会の会長を勝林寺の稲葉総代会長さんが勤めておられます。出石組は十八ケ寺で構成されており、但東・出石・日高と広い範囲のグループです。その各お寺の代表である総代さんたちのまとめ役として大いに活躍されています。そんな関係で、今月は兵庫教区が主催する但馬ブロック(朝来組・養父組・城崎組・出石組)の総代研修会が勝林寺を会場に開催されることになっています。また、来月には出石組総代会の研修旅行も計画されています。これまでは神戸別院の報恩講に参拝させていただくことが多かったのですが、今年は他の役員さんから意見が出て、どこか別の方面で研修できるところに行ってみようということになったようです。一泊でという話もあったようですが、やはり昨今の雰囲気では、日帰りが妥当だろうということで、どこかいい場所はないかと顧問の私に相談がありました。そこで、日帰りで行って帰れるいい場所として思い当たったのが鳥取市青谷町にある願正寺さんです。私も行ったことはないのですが、「妙好人」(みょうこうにん)の因幡の源左さんゆかりのお寺として有名です。

今月の正信偈の句の中では「聞信如来弘誓願」(阿弥陀如来の弘誓の願を聞信したものは)すなわち信心を獲た念仏者は、「仏言広大勝解者 是人名分陀利華」(仏様が広大勝解者と言われ その人を分陀利華のような人であると名づけられる)ということですが、仏様はまたその人のことを「妙好人」とも名づけてほめたたえられるのです。すなわち真実の信心を得た念仏者をほめたたえる言葉が「妙好人」であり、それとともに、真宗門徒の中でも特に篤信(とくしん)の念仏者を指して「妙好人」という言葉が使われるようになっています。今回研修旅行で行かせていただく“因幡(いなば)の源左(げんざ)”さんの他にも、大和(やまと)の清九郎(せいくろう)さん、讃岐(さぬき)の庄松(しょうま)さん、石見(いわみ)の才市(さいち)さんなどが有名な妙好人として知られています。源左さん(1842~1930年)は苦難の中にあっても、〖ようこそ ようこそ〙(ありがとう)と、仏の教えを体現した農民だったそうで、民芸運動の先駆者・柳宗悦が著した『妙好人ー因幡の源左』が、注目される端緒となったのだそうです。また、妙好人については私の師である信楽峻麿が大いに影響を受けた仏教学者の鈴木大拙が戦後すぐに著した『妙好人』が有名です。その冒頭で鈴木は、「他力宗の生命は実にいかめしい学匠達や堂堂たる建築の中にあるのではなくして、実は市井の人、無学文盲ともいわれ得る、賤が伏屋に起臥する人たちの中にあることを知った。」と言われています。

他力本願を宗とする浄土真宗寺院を支え、どんな時代であってもお念仏のおみのりを子や孫に伝え、命の輝きが失われ、不安の深まる現代社会の中で、心豊かに生きる信心の智慧を弘める活動を住職と共に担う門徒総代の皆様に、いい研修の場所がご紹介できたと思っています。今から研修旅行に参加できることを楽しみにしています。 

(文責 住職)