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住職法語 2026-06

弘経大士宗師等  拯済無辺極濁悪
道俗時衆共同心 唯可信斯高僧説

 先日「全国伝統的建造物群保存地区協議会総会・研修会 佐渡市大会」に参加してきました。いままで佐渡島に行く機会がなく、このチャンスを逃すと一生行けないと思い、思い切って渡ってきました。研修会とは別に「トキ(朱鷺)」にも遇ってきました。私は田んぼで餌をついばむ二羽のトキを見ました。坊守は空飛ぶトキの姿も見たようです。トキはコウノトリよりもひとまわり小さく、歩いている姿は変な顔のサギのようです。しかし、羽を広げて飛ぶ姿を見ると、羽の裏側がフラミンゴのようにピンク色で美しく、その優美な色合いが日本を代表する姿として、学名が「Nipponia nippon」と名付けられているのだそうです。トキもコウノトリも一度絶滅した種を、地域ぐるみで守り、野生復帰させた鳥です。佐渡は遠いところでしたが、豊岡と同じ、命をみんなではぐくみ育てようとする豊かな心の人たちが、自然と共に暮らす優しい空気の流れているところでした。

“トキ”には“時”の意味はないにしろ、その存在は今の時代を生きる命の在り方を示しているように感じます。私たちはその時々に応じて生きています。タイミングよくチャンスを逃さないように生きなければなりません。一般にはそれを「時期相応」といい、行動や教え、言葉が、その時期や状況、受け手の準備に適していることを言います。この混迷した自己中心の争いと疑惑に満ちた命をないがしろにする時代に、絶滅しようとした鳥の命を、人々が協力して自然環境、社会環境全体を見直して護った取り組みは、人類が絶滅の危機から脱するための「時期相応」の取り組みだと思います。

仏教では「時機相応」といい、末法の世では、人々の心の状態に応じて念仏が最も適した教えとされ、これを「時機相応の教え」とよびます。もともとお釈迦様は、相手の理解力や時代背景に応じて教えを説かれる「対機説法」という方法で人々を悟りの道に導かれました。その人その時代に応じた成仏の道を説かれたのです。だからその教えは時(代)と機(根)に相い応じており、ある教えがそれの実行される時期(時)と、その教えの受け手(機)にふさわしいものでなければならないのです。特に末法の世においては、それにふさわしい教えを説かなければならないというのが「時機相応の教え」ということです。法然上人は人間の機根の衰退した末法の世である今時の人びとが往生できるのは、修し易く勝れた法門である念仏でなければならないとし、これを時機相応の教えであるとされました。親鸞聖人も、その教えを受けて、今の私たちには念仏往生の道しかないと確信されたのです。

話がトキから外れましたが、ますます五濁悪世悪世界の様相が現実になってきている中、ほとけのみ名を聞きひらき、信心に生きる念仏者として、どんな小さな命もわが命と同じように尊く、ともに護ろうとする時期相応の行動を心掛けなければならないと思うのです。

佐渡は本当に遠かったですが、良い機会に合わせていただいたことをよろこんでいます。

(文責 住職)