清浄光明ならびなし 遇斯光のゆゑなれば
一切の業繋ものぞこりぬ 畢竟依を帰命せよ
季節が進み、寺の裏のお城山も所々紅葉し始めて来たようです。夏の厳しい暑さを何とか耐え忍んできた命が、九月に入り急に気が抜けてしまったのか、九月・十月は六人のご門徒の葬儀を行うことになりました。皆さんご高齢でしたが、それぞれ私が寺に帰ってきた頃はお元気で、仏壮・仏婦の活動の中で一緒にお寺を支えてきてくださった方々でした。お釈迦様が説かれた四苦八苦の中でも、「愛別離苦」は秋らしい寂しい苦のように感じます。
人生長く生きていると、出会いもいろいろ、別れもいろいろ、と演歌の歌詞ようですが、しっかりとした“出会い”を意識的に経験していくことの大切さを大学時代に学びました。龍谷大学で「真宗カウンセリング」という研究会を西光義敞先生が進めておられ、そこで一緒に勉強させていただきました。先生は、親鸞聖人の念仏信心を獲て生きることを基本としながらも、現代社会へアプローチする方法としては、カール・ロジャーズの提唱するカウンセリングの理論・技法を身につけて活動することが、念仏者として大切だと教えておられました。
カール・ロジャーズのカウンセリングは「来談者中心療法」として一般に紹介され、悩んでいる人の話を「聴く」ことによって、本人が自分の成長力を回復させ、問題に気付き、解決して、立ち直っていくというものです。逆にそれまでは、医者や先生が患者の問題を分析し、治す方法を指示し、治療してあげるやり方だったのを大転換させたのです。ただし、今もあまり定着してはいないようですが、私はこちらの方法にはまってしまいました。
この技法には三つの柱がたてられています。〈受容〉〈共感〉〈自己一致〉です。この3つの態度姿勢を身につけている人に話を聴いてもらえば、どんな悩みも解決して積極的に前に進んでいける。そしてその人自身が〈自己一致〉した状態で生活できるようになっていくのです。本来人と人との出会いは自己一致した人と自己一致した人との間にしか生まれないものです。この本当の“出会い”を人生の中でより多く体験できているかが生きる充実感につながるのだと思います。人との出会いだけではなく、音楽や芸術、犬や猫、自然や宇宙。どんなものにでも自己一致した真実の自分と自己一致した真実そのものが出会うことが人生には大切なことであるとロジャーズのカンセリングは教えているのです。
西光先生はこのロジャーズのカウンセリングの技法は、私たちが仏法に出会い、阿弥陀様に出会うためにも有効な方法なのだということを発見され、教えていただきました。もともと2500年前であれば、お釈迦様に直接出会って話を聴いてもらえば、私にあった仏道をお釈迦様から教えてもらえ、誰もが成仏できたのです。その教えの断片が言葉として経典に残ってはいるのですが、色々な解釈や、感情や、政治や、習慣にまみれて本当の教えに出会うことが難しくなっています。そんな中で真実の仏の心(宗)に出会う方法を、念仏として示していただいたのが親鸞聖人の浄土真宗です。私たちは日々の生活の中で、念仏を称え、弥陀の清浄な光に照らされて、人と出会い、仏様に出会うことが今の私たちにもできるのです。
(文責 住職)
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