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八月どすん

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ある時、住職が「小さい頃からずっと鳥を飼ってみたいと思っていた」とご門徒さんとお酒を飲み交わしながらつぶやいたことがきっかけで、話がトントンと進み、七年ほど前に本堂の縁の下で烏骨鶏を飼い始めました。真っ白な体に黒いとさかが特徴で、ちょっと高級感のある鳥です。成長とともによく卵を産むようになり、食べきれないときはおすそ分けをしたほどです。しかし、年月の流れの中で、獣に襲われたり、病気になったりして、昨年末にとうとう一羽になってしまいました。一羽になった時「きっとこの一羽もそう長くはいられないだろうな」と思いました。それまでずっと仲間と一緒に暮らしてきたので、一羽になって寂しさに耐えられないと思ったのです。ところが、私の予想に反して、半年以上が経ちますが、とても機嫌よく暮らしています。一羽になり、ストレスがなくなったのかもしれません。それだけではありません。七年間飼って来て、エサをやったり水をやったりお部屋を掃除したりして世話をしてきましたが、たいてい私が中に入ると逃げてしまい、何年経っても「私になついてる」という感覚をもつことができませんでした。(一番飼いたがっていた住職の鳥への興味がうすれていったのはそのせいです(笑))それが、一羽になって四か月くらい経った頃から、私がエサや草をもって入ると、ぴょこぴょこ走って寄ってくる様子が見られるようになったのです。(やっぱり寂しくなったのかな)その姿が可愛いので、今は、朝の散歩のついでに好物のタンポポの葉っぱを持って帰ってやるのを日課にしています。それでも、毎日うれしそうに寄ってきてくれるかというとそうでもなく、全然知らんふりをされる日もあります。いろいろ不思議ですが可愛いです。(文責 坊守)